くすりを水なしで飲むのは危険です。
くすりが吸収されるには、くすりが溶けた状態でなければなりません。
水がなければ溶けにくいので、吸収が遅れ効果も現れにくくなってしまいます。
場合によっては、溶けずにそのまま便の中に出てしまうこともあります。
水には、飲みやすくするという役目もあり、水なしでも飲めるという方でも、普通は水で飲んだ方が飲みやすいでしょう。
錠剤やカプセル剤を水なしで飲むと、食道に引っかかったりくっついたりして、その場で溶け出してしまい、食道潰瘍をおこすことがあります。
また粉薬などでは、気管から肺に入ってしまい、肺炎をおこした例も報告されています。
普通は十分な水で飲むようにして下さい。特に、飲み込む力の弱っているお年寄りや子供の場合、飲んだ後も5分位は横にならない方が良いでしょう。
くすりによっては、服用後30分は横にならないようにと指示のあるものもあります。
一般には、水の量が多いほどくすりは溶けやすくなります。
また、水は胃を刺激して胃の運動を高め、くすりを早く小腸へ移動させる役目もしています。
くすりが早く溶けて早く小腸へ送られれば、早く効果を現すことができます。
しかし、あまりたくさんの水を飲むと、胃の中のくすりを完全に小腸へ送るための時間は、逆に長くなってしまい、吸収が遅れることがあります。
病気などで水分を制限されているとき以外は、コップ1杯(150~180mL)程度が一般的です。
水以外にはお湯でも構いません。
ただし、消化酵素剤や消炎酵素剤などのタンパク質で出来ているくすりの場合、あまり熱いお湯で飲みますと分解してしまうこともあります。
またあまり熱いお湯ですと、ゴクゴク飲むこともできないので、水の量が足りないこともあります。
なるべく、ぬるま湯程度にしておいた方がいいでしょう。
最近では、水なしで飲めるお薬が開発されています。
口腔内崩壊錠(WithoutWaterTablet:WOWTAB)といって、口の中のわずかな唾液によりすばやく(10秒程度)崩壊して唾液と一緒に飲み込むことができる錠剤です。
飲み下す力が弱い小児や高齢者の方にも服用しやすいようにと考えられた剤形で、唾液と一緒に飲み込んでいただければ問題はありません。
どうもくすりを飲むときは水が無いと飲んだ気がしないという方は、お水で飲んでいただいても結構です。